「魔法少女まどか☆マギカ」まとめの感想文

つまるところこれは魂の尊厳と救済の話である。願いから生まれた魔法少女は絶望で結末する。祈りを生んだ魂の尊厳は踏みにじられ災いをもたらす。そしてまどかはその尊厳が損なわれることにこそ怒りを覚えた。だから魔法少女しか救われないし、救えない。(そして大人も男も構図の中に登場しない)。
何故まどかがその役割を担うのか。傍観者であり続けたゆえに知恵を得たからであろう。契約時の諸注意の他、世界史概説のおまけ付き。キュゥべえが何故わざわざあんな教育をしたのか、なんらかの意図あってのものなのか最後まで不明だ。聞かれてる範囲以上の回答をしているが、意外とおしゃべりなのかもしれない。おしゃべりの罪と罰! まどかは力と、知恵と、怒りを得た。
やりたい事とやるべき事が一致したまどかさんは、タクトくん並のポジティブさを発揮する。世界を革命する。己の手で世界をすこしだけマシにする。話全体の彩りの暗さに埋もれ見失いがちだが、法外にポジティブだ。銀河美少年は最初から最後までポジティブだったが、まどかさんは最後だけポジティブだ。同時期のアニメでカラーが全く異なり正反対だなーと思ってたのに、最後は同様に救いをもたらす話になっているのは興味深い。
そしてこれは魔法少女ものとして血が通い結実したものである。平成ライダーなんて言ってごめんね。でも落としどころを間違ってたらそうなってたと思う。
最後の最後で想いがまどかに通じたほむら、己を見いだし為すべき事を見いだしたまどか。女子同士ものをテーマとしてここまで質量のあるものをえいやと放り投げてきた製作者には脱帽である。さっぱり男がいなくても充分濃厚なドラマが成立することが見事に示されてしまったよ。