森田季節「不動カリンは一切動ぜず」

表紙はファンシーだが中身はカオスである。
ところは神戸。性や家族の概念が崩壊し、人々が思念を伝え合う未来の世界で、主人公火輪さんはお友達兎譚さんの告白にお返事するべく、不動明王パワーを借りてモリモリ突き進むお話であり。な、何を言ってるかワカんねーだろーが、本当にだいたい概ねそういう話である。
異様な世界観にさまざまな宗教、神々、殺し屋、ブルーシー、社会体制、強制善人、ハルヒ、アサヒナさん、六甲山、国家などが登場する。SFといえばそんな感じなのだろうか。舞台背景は異様そのものなのに、話の骨格はシンプルなガールミーツガールものなのが何とも不思議であり。火輪さんは愛について深く考えたりもする。ラブラブだから‥‥っっ。
兎譚パパであるところの統湛のむちゃくちゃな思念話が面白かったです。さようなら、緒方! 悟りを開いた統湛最強過ぎる‥‥。
ラノベ書いてる人なので文章は幾分に読みやすいというか改行の少ないラノベ的文章というか。
なお、繁殖と性的なものが切り離された世界観なので作中では特別珍しいことではないそうなのですが、主人公火輪さんとお友達兎譚さんは女子同士なのでそんな感じである。

不動カリンは一切動ぜず (ハヤカワ文庫JA)

不動カリンは一切動ぜず (ハヤカワ文庫JA)