森田季節「エトランゼのすべて」

星海社FICTIONS、初めて聞く名前だ‥‥。文庫より版型が大きい。単価が高い(1260\もする)だけあって、栞紐も装備している。あの、猫が見るなり発狂して攻撃を開始する紐である。
キョート・リパブリックというか京都の大学というか京都大学を舞台にした比較的ライトな青春モノである。なんとなく入った謎めいたサークルの謎めいた会長、その正体は、そして秘められたサークルの目的とは。そして、けんどうとは‥‥。
これまでの森田季節の作風と異なり、だいぶ一般向けベクトルの内容である。ルイシュや不動やベネズエラのような混沌とした世界ではなく、現実世界の京都である。それでも、メルトとかご奉仕みたいに「なんでこんなの書いちゃったのかなあ」と思うような薄さは感じない。上手いこと調整できていると思える。

頑張ればきっとなんとかなりますよ。毛利元就だって一代で中国の覇者となったんですから

かなり森田季節っぽいテキストというか、中道さんは森田季節っぽさが濃縮されたキャラだ。
結論としては、わたくしはもう夢も希望もない人生なので、会長と結婚したい。てか、普通会長と結婚すると思うんだけど‥‥。
イラスト担当は庭という人でこれまで聞いたことのない名前なのだが、これが素晴らしい出来である。全挿絵カラーであり、会長も中道さんもお美しい。表紙の装丁も素晴らしい。

エトランゼのすべて (星海社FICTIONS)

エトランゼのすべて (星海社FICTIONS)