佐島勤「魔法科高校の劣等生」(以下魔法科)のいいところ

を適当に書く。既刊文庫3巻分を逸脱している要素も少しある。

1. 全てにおいて理屈っぽい

魔法の仕組みやら社会制度やら何やらもそうだが、特に会話シーンがいい。とても学生の対人関係とは思えない、ロジカルな思考と政治とタイミングの力学で会話が進んでおり、いちいち緊張感がある。基本的に会話は腹の探り合いで、先手を打ち防御し対応するのだ。素晴らしい。
が、気に入らない人はこの理屈っぽさに発狂すると思う。

2. プロットがでかい

一般論として、ラノベは売れなかったら早期に打ち切られて終わってしまう。新人賞応募作も同じであり、応募時点で大きな話が考えられていることはあまりなく、売れたらそこから引き伸ばしで行く体制である。そのため少し巻が進むと、話がいきあたりばったりになったり、ネタ切れだったり、辻褄が合わなかったり、キャラが何考えてるのかわからなくなったり、だらだら引き伸ばされるといったことが、よくある。
魔法科は作者が趣味で書いてWEBに掲載していたこともあり、最初から大きめなプロットが組まれており、それを元にしているのでキャラも話も軸がブレない(WEB掲載分の6章まで通しで読んだ感想)。既にお話の終わりである三年次までプロットがあるらしいので、この先も期待できると思われる。

3. お兄様ゴロにゃん

正ヒロインであるところの実妹の深雪さんのお兄様愛No.1っぷりはもはや崇拝レベルであり神。同時に深雪さんは女性としての奥ゆかしさも完璧に兼ね備えており最強に見える。兄への深い愛情×奥ゆかしさ=最強。一方でお兄様の方も、甘やかし過ぎないようでやっぱり甘やかすという絶妙のバランスである。
極論を言えば魔法科は、司波兄妹がイチャイチャしながら敵を倒す話である。