杉井光「剣の女王と烙印の仔 VIII」(8巻(最終巻))

クリスくんがふさぎの虫になってしばらく刊行間隔が開いたと思ったらもう最終巻であるナニソレと思い読む前はテンション低かったが読んでみたら文章やら展開やらに力があり悪くなかった。アンゴラの南征やら聖王国との戦争やらカーラ先生やらクリスの例の危機やらいろいろ懸案があり一冊でまとめきれるものかと懸念していたが、ひと通り話は収束したといっていいだろう。
でもまあ一冊で詰め込んだ分話がずいぶん駆け足になっており、最後のアンゴラ戦あたりは大局的な描写ばかりでディテールが薄く、ミクロなパオラのエピソードがむしろ浮いている。銀卵騎士団自体の描写もほとんどない。前の方の巻から引っ張ってきた予知夢の伏線も有耶無耶になった。カーラ先生もあっさりだ。
秘密パワーでみんな幸せになりましたメデタシメデタシみたいな安直なハッピーエンドにしなかったのは評価できる。最後の方の展開の理屈は観念的でいまいちよく分からないが。
しかしこのシリーズ駆け足気味に終わらせた後にコミカライズ開始ってよくわかんないなりィ‥‥。

剣の女王と烙印の仔 ? (MF文庫J)

剣の女王と烙印の仔 ? (MF文庫J)